■まえがき
2015年9月、カリフォルニア州バークレー市議会は、沖縄の米軍普天間飛行場の移設に伴う、名護市辺野古の新基地建設に反対する決議を採択した。
決議では、米軍基地が集中している沖縄では長年県民に重い負担がかかっていること、地元住民が移設に反対していること、新基地建設は辺野古沿岸に生息する哺乳類への悪影響があることに言及し、米政府に対し沖縄の民意の尊重と環境の両面を考慮し、法に基づいた措置をとるよう求めている。
バークレー市議会の決議文のコピー
日本国内では、普天間飛行場の辺野古移設をめぐって、安倍内閣と沖縄県の対立が続く中、沖縄以外の地域に住む日本人は、まるで自分とは無関係であるかのように、沈黙している。辺野古への新基地建設は、当然のことながら、日本全体の安全保障に関わる問題であり、沖縄の周辺住民だけの問題ではない。にもかかわらず、国民の多くにとって、これは、あくまでも沖縄と中央政府の対立なのだ。
日本国民が沈黙している理由は二つある。ひとつは、沖縄に重い負担を押し付け続けるのは気が引けるが、かといって、その肩代わりを自分の住む地域で引き受けようとは思わないから。
もうひとつは、辺野古新基地建設は、日米同盟の軍事戦略の一環であり、日本政府だけの意思で決定することができないからだ。言い換えれば、対米従属の日本はアメリカにNOと言えないと分かっているからだ。
そんな中、何千キロも離れた沖縄で起こっている米軍基地問題を、自らの問題として捉え、環境保護や人権、民主主義の観点から、沖縄の人々の側に立ち、米連邦政府に自らの安全保障政策を見直すよう促す決議をアメリカの自治体が行ったことは、大きな驚きである。
今回、バークレー市議会を辺野古基地建設反対の決議に導いた、同市の“平和と正義” 委員会の委員長であるジョージ・リップマン氏に話を聞くことができた。