2010年01月31日

政治家、小沢一郎についてこう思う

ニュースが伝えないもの
またもや、小沢一郎をめぐる「政治とカネ」の問題が取りざたされています。多くの人々が、「またかと」と視るのも聴くのもうんざり、という気持ちを抱いていることでしょう。

私は、かれこれ10年以上も前から、小沢さんという政治家について考えてきました。いったい彼は正しいのか否か、尊敬すべきなのか否か、支持すべきか否か。私は、直接小沢さんを知っているわけではありませんが、直接・間接に知る人々や、陰に陽に小沢さんを支持する人々、真のジャーナリズムを目指している人たちの意見を検証しつつ、小沢一郎と民主党議員の面々、彼らの来し方、目指しているものについて考え、見守ってきました。

今、私はこう考えます。今もし、小沢さんが失脚させられたら、つまり起訴され、幹事長辞職に追い込まれ、政治家として命を奪われるようなことになったら、日本とってこれほど本当の意味で不幸なことは無いと。

もちろん私にすべてのことが見えているわけではありません。私が収集できる情報にも限度があります。でも、はっきり言えることは、政治の世界や世の中で「本当に何が起こっているか」は、新聞やテレビのニュース報道だけでは知ることはできないということです。それどころか、事実はマスコミを通していくらでも歪曲され、「起こっているとされていること」の重大性も変えられ、取るに足らないことが重大ニュースとして誇張たり、重大ニュースが隠蔽されたりすることは日常茶飯事だということです。マスコミ報道が、客観的で公正な報道などとは程遠いということはわかっていても、どのニュースが本当で、それはどの程度重大なことなのか、その判断を一般の人々が自力ですることは簡単ではありません。それをいちいち調べるには、膨大な時間と労力と能力が必要です。結果、テレビ繰り返し流される一方的な情報を何となく耳に入れているうちに、知らず知らず特定のイメージが植え付けられ、そうかもしれない、そういうことだったのかと、わかったつもりになってしまうのです。

毒をもって毒を制す
もう一つはっきりといえることは、小沢一郎というは、裏も表も知り尽くした権力のある政治家、ある意味「毒」を持った政治家だです。しかし、今の日本の「毒」にまみれた政・官・民の癒着構造にメスを入れるのは、同じ毒をもった小沢でないと無理だということです。管直人さんや岡田克也さんをはじめ、鳩山政権内には仕事のできる立派な政治家はたくさんいます。だけれど、清廉潔白な政治家だけでは、太刀打ちできないものがあって、逆に毒に飲まれてしまうかもしれません。脱官僚の政治主導の改革を断行するためには、今はどうしても小沢さんのいわば「毒をもって毒を制する」力が必要です。両刃の剣でかかる必要があるのです。

政権発足以来の仕事ぶり
政権発足以来4ヶ月、官僚権力の中枢である財務省にメスが入りました。幹部人事です。財務省主計官出身の藤井裕久を財務大臣に据え、元財務省事務次官の斉藤次郎を日本郵政の社長、そして勝栄二郎を財務省主計局長にしました。鋭い政治評論で知られる副島隆彦氏の解説によると、(要約開始)このような人事を行った理由は、財務省の元トップであったこの人々が、政府のいわゆる埋蔵金75兆円のありかと出し方を知っていたからだということです。そして、2010年度予算編成に当たり、亀井静香郵政改革・金融担当相が、「出さないと首を切る」と勝主計局長に圧力をかけ、特別会計の中から15兆円出させたのです。結果、補正予算を含め100兆を超える国家予算に比べて税収が36兆円という極めて厳しい経済状況のなかで、ぎりぎり何とか公約実現のための予算を確保し、かつ、国債発行を44兆円にとどめることができたというのです(要約終了)。実に見事な人事だったと思います。

この働きぶりは高く評価されるべきではないですか。事業仕分けで無駄な公共事業などの整理縮小も行いましたね。あれは、ほんの腕試しのようなもので、短時間での評価にはいろいろと課題も残りましたし、削減額はわずかな額でした。でも初めての試みとしては立派で、政治主導が実行された場面でした。しかし、こういった作業は、本来、政治家なら誰にでもできることですし、やらなければいけないことです。つまり権力がなくてもできる仕事です。しかし、権力がないとできないこともあります。世界的不況で税収が36兆円にまで落ち込むという想定外の状況で、適材適所の人事を行い、隠していたお金を出させた、これは小沢さんの権力があったからこそです。

しかし、毒にまみれた官僚構造を少しずつ切り崩しながら、しかも国家を機能不全に陥らせることなく、政治主導の改革を成功させるには、時間が必要です。だから今、小沢さんが失脚させられて、鳩山政権の足場が危うくなっていくと、この改革は中途半端に終わってしまう可能性が高く、日本にとって不幸な結果となります。

官僚たちの徹底抗線
いま、霞ヶ関で真っ青になっているのは、財務省だけではありません。鳩山政権は、厚生労働省、国土交通省、検察庁、外務省、防衛省などの事務次官や局長級などの幹部を更迭し、心臓部を入れ替えようとしています。これに対し、検察庁を中心とする官僚たち、自民党、大手マスコミ、各種業界団体が、一丸となって徹底抗戦をしかけています。自分たちの首と既得権益がかかっていますから、それはもう必死の暗闘です。マスコミのたたき方は凄まじいですね。天皇陛下と中国の習近平副主席との会見でたたき、沖縄普天間基地問題でたたき(これも、鳩山政権はただ迷走しているわけではないはず)、政治とカネの問題でたたき・・・。

昨年の衆議院選挙前に仕掛けられた小沢攻撃。「政治と金の問題」のスキャンダルで政治家を追い込むのは、検察を含む官僚機構とマスコミが自分たちの利権を守るための道具のようなもので、これこそ古典的な手法です。

政治資金規制法違反容疑で小沢さんの秘書が逮捕・起訴されたとき、その理由は「虚偽記載」でした。政治資金収支報告書に記載されていたのは、「新政治問題研究会」および「未来産業研究会」という二つの政治団体の名前です。この二つの団体は、西松建設による企業献金のための”隠れみの”として設立された「架空団体」とみなされています。東京地検特捜部は、小沢さんの秘書が収支報告書に「西松建設」からの政治献金と記載せずに、この実体のない架空団体の名前を記載したのは「虚偽記載」だとしたわけです。しかし、この二つの政治団体からの(つまり西松建設からの)献金をもらっていた政治団体は、小沢さんの陸山会だけではありません。

企業献金の実態
総務省が保管する政治資金収支報告書によると、両政治団体は、2006年の解散までに、「会費」と資金集めパーティーで、あわせて約5億9千万円のカネを集め、約4億7千万円を政界にばらまいています。献金やパーティー券購入の形で、ここから資金提供を受けていた政治家は、自民党13名(麻生内閣の二階敏弘経済産業省、尾身幸次元財務相、加藤幸一元幹事長、森喜朗など)を含め17人います(西松建設、資金提供全容)。民主党は、小沢一郎と山岡賢次国対委員長です。いずれも、「西松建設」ではなく、「新政治問題研究会」「未来産業研究会」の名前で報告されているものです。

それならば、なぜ、小沢さんの秘書だけが「虚偽記載」で逮捕されて、他の政治家に同様の捜査の手が及ばないのか、という疑問が出てくるのは当然です。当時の政権党は自民党でした。現職の政治家、しかも閣僚らがこの手の献金を受けていたことは、なぜ問題にされなかったのでしょうか。

例えば、尾身氏と西松建設の間の癒着については、『週刊現代』3月28日号(2009年)や『週刊文春』3月19日号(同年)にて以下のような指摘があります。(要約開始)小泉政権下で沖縄・北方担当大臣だった当時、総事業費700億円という「沖縄科学技術大学院大学」の建設プロジェクトが発案・推進されました。尾身氏はその後、06〜07年に掛けて財務大臣となり、西松から自身の政治資金管理団体「幸政会」に総額1430万円の献金を受けています。内、400万円は大臣任期中にうけとったものです。収支報告書の記載は「西松建設」ではなく、小沢さんのケースと同じ「新政治問題研究会」および「未来産業研究会」です。そして同07年、西松建設はこの「大学院大学」の建設事業の工事の一部を2億5800万円で受注しました(要約終了)。職務権限を乱用した悪質なケースと考えられます。

元首相の森喜朗(石川県選出)も同様に西松から献金を受け、西松建設は北陸新幹線の建設工事を受注しています。小沢さんと岩手県のダム建設事業の関係と全く同じ手法です。企業献金と公共事業の受注への斡旋収賄は日常茶飯事で、このように表面化したケースというのはほんの氷山の一角に過ぎません。

「迂回献金」と権力の乱用
この背景にあるのは、いわゆる「迂回献金」と呼ばれる政治献金の実態です。政治資金規正法では、企業から政治家個人への献金は禁止されていますが、政党や政党支部、政党が指定する資金管理団体への献金は認められています。ここがこの法律の抜け穴です。当然のことながら、企業は特定の政治家の便宜供与を求めて献金するわけで、政党支部や資金管理団体宛に献金するときに「○○先生に」と言って指定するわけです。つまり、企業は、政治家が所属する資金管理団体や政党支部を通して、間接的に政治家個人に献金することが可能なのが現状です。これを「迂回献金」と言います。

この迂回献金は常態化しています。今回、西松建設からの献金先は知られているだけで17人、事業規模が比較的小さくて家宅捜索などの捜査がしやすい事例ですが、これが大手ゼネコンの企業献金となったらおそらく手がつけられない規模になるでしょう。特に、強い権限―公共事業に関与できる職務権限―を持つ与党議員が献金を受けた場合は、事実上の「あっせん収賄」と見て間違いありません。にもかかわらず、検察が動くことはなく、事件になることはなく、政治家や秘書が容疑をかけらることもなく、放任状態です。新聞にもニュースにも載ることはありません。

小沢さんの言っている「権力の乱用」とは、このことなのです。私は、自民党もやってきたんだから、小沢さんだけ攻めなくてもいいじゃないか、などというレベルの言い合いをするつもりはありません。また、小沢さんと企業の関係や事実上収賄の事実をそのままでいいと言っている訳ではありません。もっと大きな問題が、この背後に隠されているということを言いたいのです。

「官僚システム」対「小沢」の対決
ここが重要です。このような、政・官・民のもたれあいで成りたってきたのが、これまで64年続いた官僚システムです。もたれ合っていたから誰も告発されず、摘発されず、甘い汁を吸い続けてきたのです。先に説明したように、政治資金規正法の抜け穴を利用して多くの政治家がクロなのにもかわらず、見逃すか摘発するかは検察の首振り一つです。官僚支配の中で大人しくしていれば見逃してもらえ、逆らえば摘発されるのです。

小沢さんと鳩山政権がやろうとしていることは、まさに悪しき官僚システムの解体ですから、真っ向からぶつかっているわけです。官僚が本当に恐れているのは「表も裏も知っている」小沢一郎です。だから昨年、政治資金規正法違反の疑惑で、真っ先に小沢を排除しようとしました。ところが、秘書を「虚偽記載」で逮捕し、代表を辞めさせることができたものの、陰の実力者としての地位を奪うことはできませんでした。その結果、政権交代となり、政治改革が始まって、いよいよ後がなくなっています。そこで、改めて持ち出した疑惑が、小沢さんの政治団体が購入した土地をめぐる4億円です。今度こそ逮捕へのシナリオを描いているのは間違いないでしょう。検察の最終目標は、小沢を幹事長の座から引き摺り下ろし、議員辞職まで追い詰め、政治生命を絶つことですから、どんな汚い手も使ってくると思います。

確かに、小沢さんの個人資産、政治資金、銀行からの融資との区別がはっきりしていない、その辺は私にもわかりません。このような疑惑を持たれる火種とならないようにすべてを明瞭にしておくべきでした。そのことは残念でなりません。収支報告書への記載ミスというような説明は、それが本当だとしても、やはりイメージダウンで、そのような初歩的なしかし重大なミスをすべきではありませんでした。もちろん、人間誰にもミスをすることはあります。でも政治と金の問題を追究してきた党の小沢さんだからこそ、自らの足元は誰が見ても文句なしのきれいな状態に保っていて欲しかったです。

検察側は、水谷建設からの5000万円の不正融資を土地の購入に当てていた、それを小沢の指示でやったと、裏ガネだ、ということで無理やり立件したいわけです。だいたい、水谷が5000万渡したという発言はどこまで信憑性があるのでしょうか。渡したか否か、受け取ったか否か、本当のところは一般の私たちには知る由もありません。もしかしたら、本当に書類上の「帳簿のつけ違い」の類のことかも知れません。秘書に信頼して任せておいた結果、誤解があった、という程度の。それだけなら家宅捜索や事情徴収される言われはなく訂正すればいいことです。私は、少なくとも、水谷建設からの不正献金を隠すために銀行からの融資を受けた、というような小賢しいことはやってはいないと思っています。何れにしても、小沢さんは「やましいことはない」の一点張りではなく、国民に対して説責任を果たす必要があります。

日本の真の民主主義のために
どちらにしても、これが小沢さんでなかったら、こんな事件になることはなかったのです。これまでも、政治家のスキャンダルはありましたが検察がどう動こうと、大きな目で見れば国の大勢に大きな変化はなかったように思います。しかし、今回ばかりは、「小沢」対「検察」の対決は如何によって、日本の将来は大きく左右されます。

もし、今国会中に起訴されるようなことになれば、幹事長職は辞任、離党せざるをえなくなるでしょう。連立政権は求心力を失い、大混乱に陥るでしょう。マスコミが加熱して日本中小沢スキャンダル一色となり、国会では鳩山さんは一連の責任を追及され、本当に国民のためになる審議はほとんど行われず、メディアに扇動されて鳩山政権の支持率はがた落ちになり、連立与党はイメージダウンで夏の参院選は敗北、自民党が元の鞘に納まるでしょう。脱官僚の改革は失敗に終わり、エリート官僚が支配する日本は永遠に変わらない。それが、検察側の筋書きです。

でも、もし小沢さんが今回のスキャンダルを切り抜けて生き延び、夏の参院選で民主党が勝利することができれば、トップ官僚たちが更迭され、清廉な政治家たちが思う存分力を発揮できる舞台が出来、脱官僚の政治改革は進むでしょう。そして、時間はかかっても、日本はまともな民主主義国家の道へ方向転換することが可能となるでしょう。私は、小沢さんは夏の参院選で勝利したら身を引くくらいの覚悟はできていると思います。私服を肥やすことが目的の政治家ではありません。自らの持つ権力を、日本に真の民主主義をもたらすための捨駒として使おうとしているのだと思います。それこそが、彼が半生をかけて目指して生きたものであり、私はその意味で、小沢一郎を偉大な政治家だと思っています。

民主党内部には意見の対立も多少あるようですが、鳩山政権の中枢の面々は、皆そういう思いを共有して踏ん張っていると思います。意欲ある若手の政治家たちもそれに続いています。今は忍耐のときです。何を言われても、どうたたかれても、鳩山政権には踏ん張ってもらいたいと思っています。

ここで書いたことは、読者の皆さんにとって俄かには信じられないことや、理解し難いも部分あるかと思います。しかし、はじめに戻りますが、大手マスコミのニュースは誰がどういう目的で流しているのか、本当に重要なことは何か、ニュースが伝えないものは何かを、自分で見極めなければならないと思っています。そして、なるべ真実に近いことを声に出して訴えていかなければと思うのです。



posted by Oceanlove at 06:12| Comment(0) | 日本の政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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